孤立リスクと見守り

認知症の「夜間徘徊」が家の外に出た後—警備システムが追跡できる距離の限界

yhongo
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「ドアを開ける音がした」
その10秒後、追いかけられるか

深夜2時。

「ドアを開ける音がした気がした」と思って目を覚ます。寝室のドアを開ける。廊下は暗い。玄関を確認しに行く。

玄関の鍵が開いている。母親がいない。

スリッパが並んだまま、靴が1足なくなっている。

どれくらい前に出ていったのか、わからない。どちらの方向に行ったのか、わからない。

外は深夜の闇だ。冬だ。気温は3度だ。

「家の中を守る設計」は、家の外に出た瞬間に機能を失う

ホームセキュリティは「家の物理的な境界」で機能する。

玄関ドアの開閉センサーが「ドアが開いた」という事実を検知する。警備センターへ通報が届く。警備員が急行する——この設計は、「家の中」への侵入を検知するための設計だ。

しかし「認知症の夜間徘徊」に対しては、この設計の意味が逆転する。

「ドアが開いた」——これは「侵入者が入った」ではなく「本人が出ていった」という事象だ。センサーは「開いた」という物理を検知する。しかし「出ていった人物を追跡する」という機能は、ホームセキュリティには存在しない。

警備員が到着しても——本人はすでに「外」にいる。警備員は「家の中を確認する」ことはできる。しかし「外に出ていった本人を探す」ことは、警備の業務範囲を超えている。

「家を守る設計」は、「家から出ていった人を守る設計」とは、まったく異なる。

時間軸の解剖:夜間に家を出てから「3日目以降」の生存率が急落するまで

⏱ 0〜10秒(検知):ドアが開いた瞬間——センサーは「事実」を検知するが「方向」を知らない

深夜2時。玄関ドアが開いた。

開閉センサーが発報した。警備センターへ通報が届いた。

しかしこの通報が示すのは「ドアが開いた」という事実だけだ。

「誰が」——外出中の家族か、侵入者か、徘徊した本人か。センサーには区別できない。

「どちらへ」——右か左か、駅方面か公園方面か。センサーには情報がない。

「どれくらい前から」——目を覚ます前に出ていた可能性もある。センサーが発報した時刻は「ドアが開いた時刻」だ。しかし「発報に気づいた時刻」は、睡眠中であれば遅れる。

「ドアが開いた」という検知の後に始まるのは——「家の外の世界」という、センサーが届かない空間だ。

東京都健康長寿医療センター研究所の研究が示すように、認知症の行方不明者が亡くなるパターンとして、①行方不明後すぐに交通事故・溺死などで死亡するパターン、②数日間徘徊して低体温症などで死亡するパターンがある。

参考:東京都健康長寿医療センター研究所「認知症による行方不明——いのちを守るために必要なこと」 https://www.tmghig.jp/research/publication/yukuefumei/

⏱ 10秒〜30分(空白):家を出てから30分の間に、本人はどこまで行けるか

深夜2時に外に出た認知症の高齢者。

歩行速度を1分間60メートルとすると、30分で1.8キロメートルの移動が可能だ。しかし認知症の徘徊は「目的を持った移動」ではなく、方向感覚を失った移動だ。川沿いを歩いていれば、川に転落する可能性がある。道路を横断すれば、深夜の車に轢かれる可能性がある。

警察庁の令和6年(2024年)のデータによれば、認知症に関連する行方不明者のうち死亡が確認された491人の約8割(382人)が、行方不明となった場所から5キロ圏内で亡くなっていた。

「遠くには行っていない」——しかし「近くでも死ぬ」という現実がある。

死亡確認場所として最も多いのは「河川・河川敷」の115人、「用水路・側溝」79人、「山林」71人だ。

参考:ケアネット「行方不明の認知症患者が亡くなっている場所とは/警察庁」(警察庁令和6年データ引用) https://www.carenet.com/news/general/carenet/60855

参考:警察庁「令和6年における行方不明者届受理等の状況」 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/R6_yukuefumeishakouhoushiryou2.pdf

⏱ 30分〜24時間以降(結末):「3日目以降は生存率が急落する」という研究の示す現実

東京都健康長寿医療センターの研究が示すように、「行方不明になってから翌日までは生存して発見される例が多いが、3日目以降では生存する可能性は急激に低くなる」。

独居の場合は「行方不明になったことに気づくのが遅れ、捜索開始の遅れにつながり、発見の遅れにつながる」という連鎖がある。

「気づいてから捜索する」という設計では、この3日という壁に間に合わない場合がある。

「気づいた瞬間」が捜索のスタートラインだ。しかし「家を出た瞬間」が本来のスタートラインであるべきだ。この2つの時刻の差が、生死を分ける。

総務省消防庁のデータによれば、救急車の全国平均到着時間は約10.0分(令和6年版)。しかし「通報が届かなければ」動かない。

参考:総務省消防庁「令和5年版 救急救助の現況」 https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-5.html

なぜ「検知」できないのか

「家を出た後」の追跡が困難な理由を整理する。

① ホームセキュリティは「家の境界」までしか機能しない 玄関・窓・ベランダ——これらが「家の境界」だ。センサーはこの境界での「開閉・侵入」を検知する。しかし「境界を通過した後のどこにいるか」は、センサーの設計範囲外だ。「家から出ていった」という事実は検知できるが、「今どこにいるか」は知らせられない。

② 「夜間徘徊」は「家族が寝ている間」に起きる 認知症の夜間徘徊は、深夜から早朝にかけて発生することが多い。家族が寝ている間——センサーが発報しても、就寝中で気づかなければ対応が遅れる。「センサーが発報した」という情報がスマートフォンに届いても、深夜の通知に気づかなければ意味がない。

③ 徘徊の方向と経路が予測できない 「いつも行く場所」に向かうわけではない。かつての記憶に引っ張られて、子どもの頃に住んでいた場所を目指すケースもある。「この方向に行った可能性が高い」という予測が困難なため、捜索範囲が広がる。

④ 「GPSを持っていない」「持っていても外していた」という状況 GPS機器は「持っていれば機能する」が「持っていなければ何もできない」。入浴・就寝時に外していたGPSが、徘徊時には身についていないという状況が現実に起きる。

夫婦二人暮らしで片方が先に倒れたとき—「もう一人がいる」という前提が崩れる瞬間
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なぜ「介入」できないのか

「外に出た」という事実が分かっても、迅速な介入が難しい理由がある。

「警察への届出」から捜索開始まで時間がかかる 警察への行方不明者届は、原則として「行方不明になってから一定時間が経過した後」に受理されるケースが多かった。現在は即時受理が推奨されているが、それでも「届出→捜索開始」の間に時間がかかる。

「5キロ圏内」という近距離でも、夜間の捜索は困難だ 死亡者の8割が5キロ圏内で発見されているという事実は、「近くに生きているはずだ」という希望と「近くで既に亡くなっている」という現実の両面を示す。河川・用水路・山林——これらは夜間の人的捜索が特に困難な場所だ。

「GPSがあれば発見できたケースが111件」というデータの意味 警察庁の令和6年データによれば、無事に発見されたうち111件でGPS機器や紛失防止タグが有効だった。逆に言えば——これらのツールがなかった場合、発見が遅れる、あるいは死亡に至った可能性がある。

GPSで子どもの「位置」はわかる:そこが危険な場所ではないか確認したいときにはどうすれば
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【生存のための物理構造図】

「家の中を守る設計」から「家を出た瞬間に知らせ、外でも追跡できる設計」へ。

【第1層:
「ドアが開いた瞬間」を
深夜でも確実に知らせる設計】
  └─ 玄関ドアの開閉センサーが発報した際
     警備センターへの自動通報に加えて
     スマートフォンへの「大音量通知」が
     就寝中の家族を叩き起こす設定にする
     「センサーが発報した」という情報が
     「気づかれなかった」という状況を防ぐ
     「ドアが開いた瞬間」を
     「捜索開始の瞬間」にする設計だ
       ↓
【第2層:
「外に出た後を追跡する」GPS設計】
  └─ 認知症の方が常時携帯しやすい形状の
     GPS機器を選ぶ
     靴の中敷き型・ベルト型・ブレスレット型——
     「外す機会が少ない形状」が重要だ
     入浴時・就寝時も外しにくい設計を選ぶ
     「GPSを持っていたことで111件が生還した」
     というデータが示すように
     「身についていること」が前提条件だ
       ↓
【第3層:
「出ていったことを警察・地域に
 即時通知する」設計】
  └─ 「家を出た」という事実を
     可能な限り早く警察・
   地域包括支援センター
     近隣の協力者に知らせる
     「3日目以降で生存率が急落する」という
     研究の示す現実に対して
     「出た当日に捜索を開始する」ことが
     最も有効な対策だ
       ↓
【第4層:
「外に出にくくする」物理的な設計も有効】
  └─ 玄関の二重ロック・チェーンの位置を
     認知症の方が気づきにくい位置に変える
     センサーライトが点灯することで
     本人が「人がいる」と感じて戻るケースがある
     「出る前に止める」設計と
     「出た後に追跡する」設計の組み合わせが
     最も安全な設計だ

警察庁の担当者は「距離の長短を問わず捜索に有効だ。家族間で活用について検討してほしい」とGPS機器の活用を推奨している。

設計を、今日から始める

「ドアが開いた瞬間に知る」と「外に出た後も追跡する」——2つの設計を今日持つ

この記事が示した設計は2層だ。「家の境界でセンサーが発報し、深夜でも家族が気づく」設計と、「家の外に出た後もGPSが位置を追跡する」設計。この2つが揃ったとき、「3日目以降で生存率が急落する」という現実への最も現実的な対処になる。

「家の外に出た後も追跡できる」設計へ / 自治体・教育委員会導入実績 / 阪急阪神東宝グループ

ミマモルメ GPS

この記事が示した「第2層:外に出た後を追跡するGPS設計」への選択肢だ。34g・コンパクト設計のGPS端末は、衣服やバッグに入れておけば「外す機会が少ない」設計に近づける。エリア通知機能は「いつもいる場所から離れた瞬間に自動通知」という操作不要の検知を行う——深夜に徘徊して家を出た瞬間、いつもと異なるエリアへの移動が保護者へ届く。警察庁のデータが示す「GPSが有効だった111件はすべて生還」という事実が、この設計の有効性を示している。日本版GPS衛星「みちびき」含む5衛星対応で高精度。全国の自治体・教育委員会に導入実績あり。

ミマモルメGPSを確認する →

「ドアが開いた瞬間」を深夜でも確実に知らせる / 日本在宅介護協会認定

MANOMA(マノマ)親の見守りセット

この記事が示した「第1層:ドアが開いた瞬間を捜索開始の瞬間にする設計」への選択肢だ。玄関ドアの開閉センサーが夜間に発報した際、就寝中の家族のスマートフォンへ即通知が届く。「センサーが発報したが気づかなかった」という状況を防ぐための設定(大音量通知・繰り返し通知)と組み合わせることで、「ドアが開いた瞬間」が「捜索開始の瞬間」になる設計が成立する。GPSとセットで持つことで「家の境界での検知」と「家の外での追跡」という2層設計が完成する。工事不要・違約金なし。

違約金なし・工事不要・賃貸OK / 日本在宅介護協会認定

MANOMA 親の見守りセットを確認する →

※この記事が示した設計の完成形は「玄関センサー(境界での検知)+GPS(外での追跡)+警察・地域への即時通知(第3層)」の組み合わせです。認知症の方の見守りについては、地域包括支援センターへのご相談と、お住まいの市区町村が提供する「GPS機器の貸し出し・補助制度」の確認もあわせてお勧めします。緊急時は直ちに110番へご連絡ください。

「施設に入った親の家」を放置するリスク—空き家期間中に起きる複合的な損害の時間軸
「施設に入った親の家」を放置するリスク—空き家期間中に起きる複合的な損害の時間軸

「家の中」と「家の外」では、まったく異なる設計が必要だ

ホームセキュリティは「家の中を守る」ために設計されている。この設計は「侵入を防ぐ」「倒れた住人を検知する」という機能を持つ。

しかし認知症の夜間徘徊は——「家の中から外へ出ていく」という方向の移動だ。

「家の中を守る設計」が機能する境界線の、すぐ外側に、最大のリスクがある。

「ドアが開いた」という検知は、ホームセキュリティが担える。しかし「開いた後にどこへ行ったか」は、GPSという別の設計が担う。

この2つの設計は、性質が異なる。しかし認知症の徘徊リスクに対しては、両方が必要だ。

「家の境界」で終わるセンサーと、「家の外まで続く」GPSを組み合わせることで——「ドアが開いた瞬間」から「発見するまで」の連鎖が完成する。

「3日目以降で生存率が急落する」——この現実に対して機能するのは、「出た当日に追跡を開始できる設計」だ

この記事を読んで「認知症の徘徊対策と家の外での追跡設計が気になった方へ」

このサイト(guard-structure)は、住環境の「物理的な構造」とリスクの関係を整理することを目的にしています。「家の中を守る設計が家を出た瞬間に機能を失う」という構造的な限界と、その補完設計を言語化することが、この記事の出発点です。

気になった方は、現在設置可能な「具体的なシステム」を確認してみてください。

ドアが開いた瞬間に——深夜でも自動で外部に届く設計

「音がした気がした」では遅い——玄関の開閉を検知した瞬間に警備センターへ通報する

夜間徘徊は深夜に起きる。家族が熟睡しているとき、ドアが開いた音に気づけるとは限らない。気づいたときにはすでに外に出ている——この10秒の差が、徘徊の追跡を困難にする。関電SOSの開閉センサーは玄関ドアが開いた瞬間に専用回線で警備センターへ自動通報し、警備員が対応する。深夜の徘徊を「気づいてから追いかける」設計から、「開いた瞬間に外部が動く」設計に変える。

開閉検知・深夜対応・専用回線自動通報・関西電力グループ

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ドアが開いた「その瞬間」に——業界最大手の設計が、深夜でも自動で外部に届ける

「音がした気がした」では遅い——玄関の開閉を検知した瞬間に、警備センターへ自動通報する

夜間徘徊は深夜に起きる。家族が熟睡しているとき、ドアが開いた音に気づけるとは限らない。気づいたときにはすでに外に出ている——この10秒の差が、徘徊の追跡を困難にする。セコムは業界最大手として50年以上の実績を持ち、玄関ドアが開いた瞬間に専用回線で警備センターへ自動通報し、警備員が対応する。深夜の徘徊を「気づいてから追いかける」設計から、「開いた瞬間に外部が動く」設計に変える。

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参考資料・出典一覧

資料名発行元URL
令和6年における行方不明者届受理等の状況(認知症行方不明18,121人・死亡491人)警察庁https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/R6_yukuefumeishakouhoushiryou2.pdf
行方不明の認知症患者が亡くなっている場所とは(警察庁令和6年データ引用)ケアネットhttps://www.carenet.com/news/general/carenet/60855
認知症による行方不明——いのちを守るために必要なこと(3日目以降の生存率急落・死因分析)東京都健康長寿医療センター研究所https://www.tmghig.jp/research/publication/yukuefumei/
認知症の行方不明者高水準、24年1万8000人 GPS介した発見は全員生存日本経済新聞(警察庁データ引用)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD053D60V00C25A6000000/
行方不明者の状況(認知症行方不明者の死亡パターン)国立長寿医療研究センター(研究要旨)https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/2019/19xx_37.pdf
令和5年版 救急救助の現況総務省消防庁https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-5.html

本記事はguard-structureが防犯・安全設計に関する情報提供を目的として制作しました。医療・法的アドバイスを提供するものではありません。認知症の方の見守りについては、地域包括支援センターにご相談ください。緊急時は直ちに119番・110番へご連絡ください。

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大切な家族と資産を守るために、「何が起こり得るのか」「何を備えるべきか」を考え、学術論文や公的データをもとに情報を整理しています。 筆者は防犯の専門家ではなく、特定の方法や製品を推奨する立場にもありません。その分、全体像を俯瞰し、防犯や備えを「構造」として捉え、判断の軸をわかりやすく言語化することに重きを置いています。 情報はあくまで判断材料のひとつです。ご自身の環境に合わせた対策を考えるための「設計図」としてご活用ください。最終的な対策については、警備会社などの専門家への相談もあわせてご検討ください。
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