緊急時の対応

警備会社は「災害時には来ない」は本当か:契約書の免責事項と、震災時に実際に動く「優先介入プロトコル」

yhongo
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大地震の夜、
あなたは「守られている」と
信じていますか

深夜2時。

震度6強の揺れが収まった。書棚が倒れ、部屋の中は散乱している。頭を打ったのか、立てない。

スマートフォンは手の届かない場所に吹き飛んだ。

ホームセキュリティの機器は壁に取り付けられたまま、赤いランプが点滅している。「異常を検知」のサインだ。

しかし——このとき、ふと思う。

「大規模地震のときは、警備会社は来ない」という話を聞いたことがある。契約書に「天変地異は免責」と書いてあるとも聞いた。今夜、本当に誰かが来るのだろうか。

その疑問が、最も危険な時間帯に「助けを待つ」という選択を諦めさせる。

「免責条項は存在する。しかし、それが意味することは別だ」という構造的事実

多くのホームセキュリティの契約書には「天変地異・不可抗力」を理由とした免責条項が含まれている。これは事実だ。

しかし、この免責条項の「法的意味」と「実際の行動」を混同することが、最大の誤解を生んでいる。

免責条項が意味するのは「損害賠償責任を負わない場合がある」ということだ。「来ない」ということではない。

法的責任を問われない状況でも、大手警備会社は実際に動いている。これは過去の大規模災害の記録が示す事実だ。

セコムは阪神淡路大震災発生当日の昼過ぎには、ヘリコプターで救援物資を積んで東京を出発し、翌日の昼前には現地に入った。神戸への着陸許可が下りない中、管制塔と交渉を重ねてポートアイランドのヘリポートに降り立ち、被災した契約先のパトロールを継続した。

参考

iTSCOM安心安全情報「災害に備え、災害に臨機応変に最善を尽くす」 https://www.itscom.co.jp/safety/interview/479/

ALSOKは東日本大震災後、避難区域となった福島県内で、2011年8月から地域全域の警備を継続。飯舘村では130世帯にホームセキュリティを導入し、避難している住民の安心を守るための警備活動を続けた。原発事故の影響がある区域内のATM現金回収も、放射線量を測定しながら実施した。

参考

ALSOK「東日本大震災への支援」 https://www.alsok.co.jp/company/society/community/quake.html

免責とは「責任を問われない」ことだ。しかし警備会社は「責任を問われないから動かない」のではなく、「責任を問われなくても動く」体制を構築している。

この違いを理解することが、「大規模災害時に警備会社は来ない」という誤解を解く出発点だ。

震災でネットが死んだ夜、「無線専用回線」がなぜ最後のライフラインになるのか
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時間軸の解剖:大地震発生から「あなたが助けられるまで」

⏱ 0〜10秒(検知):揺れの瞬間、センサーが「異常」を捉える

震度6強の地震が発生した瞬間。

ホームセキュリティのセンサーは、複数の「物理的変化」を即座に検知する。振動センサーが強い揺れを感知し、震動パターンを分析する。開閉センサーが揺れによるドア・窓の動きを記録する。室内の人感センサーが状態変化を検知する。

そしてこれらの信号は——専用無線回線を通じて——警備センターに届く。

「電話回線・インターネット回線を使用しなくてもご利用いただける」設計(セコムのホームセキュリティNEO)のシステムであれば、大規模地震後の回線輻輳・停電の影響を受けない。

参考

セコム「ホームセキュリティの通信回線についてよくあるご質問」 https://www.secom.co.jp/homesecurity/support/faq/kaisen.html

この瞬間、警備センターは「大規模地震発生」と「異常信号の受信」を同時に認識する。

⏱ 10秒〜30分(空白):「25分」という法的設計が、災害時に機能するか

警備業法施行細則は、機械警備業者に対して「異常信号受信から25分以内に現場に警備員が到着できるよう配置すること」を義務付けている(東京都区域内の場合)。

参考

e-Gov法令検索「警備業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000117

この「25分ルール」は、平時における物理的配置の基準だ。大規模災害時には道路の損壊・渋滞・通行止めにより、この25分が守れない状況が発生する。

しかしここが重要な点だ——25分が守れないことと、「来ない」ことは別だ。

警備センターは、大規模災害時には「通常オペレーション」ではなく「災害対応モード」に切り替わる。センサーの異常信号を受信した契約先を優先度順に分類し、到達可能なルートで対応する体制に移行する。

セコムは能登半島地震(2024年1月)においても、ヘリコプターによる被災地への飲料水・食料の輸送と他地域からの警備員応援体制を早期に構築し、安否確認サービスでは1,486,614名に対して安否確認を同時送信し正常に稼働させた。

参考

セコムトラストシステムズ「セコム安否確認サービス」 https://www.secomtrust.net/service/bcp/anpi/

⏱ 30分〜24時間(結末):「誰も来ない」という誤解が生む、最も危険な「待機放棄」

大地震から1時間後。

部屋の中で倒れたまま、「どうせ来ない」という思い込みから、助けを求める行動を取ることを諦める人間がいる。

これが最も危険な状態だ。

日本蘇生協議会(JRC)のガイドラインが示すように、心肺停止から4〜6分で脳への不可逆的損傷が始まる。しかし外傷・骨折・脳震盪などは、適切な安静と早期処置により予後が大きく変わる。

参考

日本蘇生協議会「JRC蘇生ガイドライン2020」 https://www.jrc-cpr.org/jrc-guideline-2020/

「誰も来ない」という誤解が、「助けを求めるシグナルを送り続ける」という行動を止める。その結果、警備センターに届くべき「継続的な異常信号」が途絶え、優先対応の判断材料が失われる。

総務省消防庁のデータによれば、救急車の全国平均到着時間は約10.0分(令和6年版)だ。しかし大規模災害時はこれが延びる。

参考

総務省消防庁「令和5年版 救急救助の現況」 https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-5.html

だからこそ——警備センターへの異常信号が届き続けることと、警備員が「ここに人がいて、助けが必要だ」という情報を持った状態で介入することが、この時間差を埋める唯一の構造だ。

なぜ「誤解」が生まれるのか

「災害時には来ない」という誤解が広まる理由を整理する。

① 「免責=来ない」という論理の誤り 契約書の免責条項は損害賠償責任に関するものだ。「対応しない」という意味ではない。法的責任の範囲と、実際の行動方針は別の問題だ。大手警備会社は、法的義務がない状況でも組織的な災害対応体制を持っている。

② 「25分ルールが守れない=来ない」という思い込み 25分ルールは平時の配置基準だ。遅れることはあっても、それは「来ない」ではなく「時間がかかる」ということだ。災害時の対応優先度と到達手順は、各警備会社が別途設計している。

③ 「インターネット回線が死んでいるから通報できない」という誤解 家庭用インターネット回線が切れても、専用無線回線を持つシステムは警備センターへの通信を維持する。センサーの信号は届き続ける。

④ 「大規模災害は全件対応不能」という過度な悲観 確かに全件を平時と同じ25分で対応することは不可能だ。しかし「優先対応」「段階的対応」「広域応援体制」という仕組みが、大手警備会社には備わっている。「全件平時対応不能」と「誰も対応しない」は、まったく異なる。

なぜ「介入」が遅れることがあるのか

免責でも、来ない訳でもない——では、なぜ時間がかかるのか。物理的な理由を整理する。

道路が損壊・閉鎖される 大規模地震では道路の液状化・陥没・落橋が発生し、車両による移動が不可能なルートが生まれる。セコムのヘリコプターやALSOKの徒歩ルートの活用など、「代替移動手段」が持つ警備会社が実際の災害時に機動力を発揮する理由はここにある。

優先順位の判断に時間がかかる 「複数の契約先から同時に異常信号が届く」状況では、センターが優先順位を判断する時間が必要だ。この判断精度を上げるのが「センサーの種類・異常の深刻度・居住者情報の事前登録」だ。情報が多いほど、優先度の判断が速くなる。

介入できても「中に入れない」場合がある 警備員が到着しても、鍵がなければドアを開けられない。しかし「合鍵の預託」「緊急解錠の手順」を事前に設計しているシステムは、この壁を乗り越えられる。「到着すること」と「物理的に介入できること」は別の設計要件だ。

【生存のために】

「来ないかもしれない」という諦めから、「来る設計を持つシステムを選ぶ」へ。

【検知】

  • 専用無線回線で動くセンサーが大地震後も警備センターへ異常信号を送り続ける
  • 「インターネット回線の死」に依存しない設計

【判断】

  • 警備センターが「地震発生」と「異常信号」を同時に認識
  • 居住者情報・建物構造・健康状態の事前登録データをもとに「優先介入対象」として即座にフラグ
  • 全件ではなく「人がいて、助けが必要な場所」を先に動く

【通報】

  • 警察・消防・救急への同時通報
  • 「誰が・どこで・どんな状況か」の情報が揃った通報が救急車・救助隊の対応速度を決定的に上げる
  • 「情報を持った通報」と「情報なしの通報」は別物

【介入】

  • ヘリコプター・徒歩・代替ルートを含む多層的な移動手段で現場到達
  • 合鍵・緊急解錠情報を持ったプロが物理的にドアを開け、あなたを救出する
  • 「来る設計」「入れる設計」が揃って初めて「助かる」

「来ないかもしれない」という諦めは、来るシステムを選ぶことで解消できる。

免責条項の有無ではなく、「実際の災害時に動いた実績があるか」「専用回線を持っているか」「代替移動手段があるか」「合鍵を預かっているか」——これらの物理的設計要素が、「来るシステム」と「来ないかもしれないシステム」を分ける。

停電になった瞬間、ホームセキュリティは止まるのか? バックアップ電源の限界点
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設計を、今日から始める

「来るシステム」に近づく——今日から動ける2つの設計

この記事が示した「来るシステム」の条件——専用回線・合鍵預かり・代替移動手段——を完全に満たすのは本格的な警備会社との契約だ。しかしその前段階として、「セコムの駆けつけを要請できる設計」と「停電でも電源を維持する設計」を今日から持てる。

「セコムの駆けつけを要請できる」設計を今日から持つ

MANOMA(マノマ)セキュリティセット

この記事が示したように、セコムは阪神淡路大震災でも能登半島地震でも実際に動いた警備会社だ。MANOMAはそのセコムの駆けつけを必要に応じて要請できるソニーのスマートホームサービスだ。室内カメラ・開閉センサーが異常を検知してスマートフォンに即通知し、「ここに人がいて、異常が起きている」という信号を外部に届ける設計を今日から持てる。本格的な専用無線回線を持つシステムへの移行前の「橋渡し設計」として機能する。工事不要・違約金なし・賃貸OK。

最大3か月 月額980円・違約金なし・工事不要・賃貸OK

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停電の夜もセンサーと通信を生かし続ける

Jackery ポータブル電源

この記事が示した「停電でセンサーと通信が止まる」という弱点への直接的な補完だ。ポータブル電源をWi-Fiルーター・センサーハブ・スマートフォンに接続しておけば、大地震後の停電でも「信号を送り続ける」設計が維持できる。能登半島地震で839局が停波した夜も、停電でルーターが止まらなければセンサーは動き続けた。

※256Wh・Wi-Fiルーター約10時間以上給電可能。専用無線回線の代替にはなりませんが、家庭用Wi-Fi依存の設計を補完します。

※この記事が示した「来るシステム」の条件(専用無線回線・合鍵預かり・拠点密度・代替移動手段)を完全に満たすのは、セコム・ALSOKなどの大手警備会社との本格契約です。上記は「その移行前に今日から持てる設計」として紹介しています。

「諦め」こそが最大のリスクだ

大規模災害時に最も危険な状態は、物理的な孤立ではない。

「どうせ誰も来ない」という思い込みが、助けを求めるシグナルを止める状態——これが最も危険だ。

警備会社は「天変地異でも来る」と約束しているわけではない。しかし「来ようとする体制」を持っているかどうかは、システムによって明確に異なる。

免責条項を読むとき、そこに書かれているのは「法的責任の範囲」だ。「来るかどうか」は、その会社の災害対応体制・通信インフラ・拠点密度・移動手段という「物理的設計」が答えを出す。

セコムは全国約2,500ヶ所(2025年3月末時点)の緊急発進拠点を持ち、ALSOKは約2,400ヶ所の待機場所を持つ。この密度は、「どれだけ迅速に代替ルートで対応できるか」の物理的な裏付けだ。

大規模災害時に「あなたのもとに向かおうとする人間がいるかどうか」を決めるのは、契約書の文字ではなく、その会社が平時から構築してきた物理的インフラの質だ。

この記事を読んで「自宅のセキュリティ体制が気になった方へ」

このサイト(guard-structure)は、住環境の「物理的な構造」とリスクの関係を整理することを目的にしています。「構造の盲点」を言語化することが出発点です。この先起こり得る災害やトラブル、また有事における「安全意識」の重要性は増し続けています。

気になった方は、現在設置可能な「具体的なシステム」を確認してみてください。

「来ない」と思っていたから、契約しなかった——その前提を一度確認してほしい

免責事項の裏側にある「優先介入プロトコル」——災害時も動く設計を知る

「警備会社は災害時には来ない」という認識が、契約を躊躇させている場合がある。しかしこの記事が示した通り、免責事項と実際の運用は異なる。関電SOSは関西電力グループとして地域に根ざしたインフラを持ち、災害時の対応についても相談できる。まず「実際にどう動くか」を直接確認することが、判断の出発点になる。

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免責事項と実際の運用は異なる——50年以上の実績を持つ業界最大手に、災害時の対応を聞く

「警備会社は災害時には来ない」という認識が、契約を躊躇させている場合がある。しかしこの記事が示した通り、免責事項と実際の運用は異なる。セコムは業界最大手として50年以上の実績を持ち、阪神淡路大震災・東日本大震災でも実際に動いた歴史がある。「実際にどう動くか」を直接確認することが、判断の出発点になる。まず相談から始めてほしい。

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専門スタッフが現場を訪問してリスクを確認し、災害時の対応についても相談できる。「来ない」という前提を確認してから判断しても遅くない。まず相談・見積もりだけでも始められる。

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参考資料・出典一覧

資料名発行元URL
警備業法(e-Gov法令検索)国家公安委員会https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000117
災害支援活動セコム株式会社https://www.secom.co.jp/corporate/sustainability/infra/society/disaster.html
東日本大震災への支援ALSOK綜合警備保障https://www.alsok.co.jp/company/society/community/quake.html
セコム安否確認サービスセコムトラストシステムズhttps://www.secomtrust.net/service/bcp/anpi/
ホームセキュリティの通信回線についてよくあるご質問セコム株式会社https://www.secom.co.jp/homesecurity/support/faq/kaisen.html
災害に備え、臨機応変に最善を尽くすiTSCOM安心安全情報https://www.itscom.co.jp/safety/interview/479/
JRC蘇生ガイドライン2020日本蘇生協議会https://www.jrc-cpr.org/jrc-guideline-2020/
令和5年版 救急救助の現況総務省消防庁https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-5.html

本記事はguard-structureが防犯・安全設計に関する情報提供を目的として制作しました。医療・法的アドバイスを提供するものではありません。緊急時は直ちに119番・110番へご連絡ください。

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大切な家族と資産を守るために、「何が起こり得るのか」「何を備えるべきか」を考え、学術論文や公的データをもとに情報を整理しています。 筆者は防犯の専門家ではなく、特定の方法や製品を推奨する立場にもありません。その分、全体像を俯瞰し、防犯や備えを「構造」として捉え、判断の軸をわかりやすく言語化することに重きを置いています。 情報はあくまで判断材料のひとつです。ご自身の環境に合わせた対策を考えるための「設計図」としてご活用ください。最終的な対策については、警備会社などの専門家への相談もあわせてご検討ください。
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